「自分らしい出産に向けて」助産師の話を聴く

ファン助産院の内海幸子助産師とストレッチの梅山久美子さん

自分らしい出産をするためのお話会 2019/6/27
〜ファン助産院@浜田山〜

主催者:助産師18年目の内海幸子さん&体のケアをしている梅山久美子さん
参加者:妊婦&妊娠を考えている方10名とママさん5名&こども達

「自分らしい出産をするためのお話会」は、助産院で産む人以外にも「出産へ向けての身体作りの大切さ・心の持ち方」を伝え、話し合う場を提供したいという事で妊婦や妊娠を考えている女性向けに会が助産院で行われました。話達自身、出産の際、内海さんと梅山さんにお世話になりました。

私自身が1人目の出産トラウマが残り、「幸せなお産ってあるのだろうか?あるのであれば知りたいし、伝えたい」という思いを抱き、助産院巡りやお産の本を読んでいたら3人目を授かり、初めて助産院で出産をしました。1年以上「幸せなお産ってなんだろう?」という問いに対して、私にとって、「幸せなお産とは、お産に対して主体者になる。色々と自ら調べて、選んで、責任を持つ」事なのでは?という思いに至りました。

1人でも多くの妊婦が自分のお産に向き合えるように、お茶会の内容をシェアしたい!と思い、その日のお話の内容を黒字で、そして話を聞いた私の思いを青でシェアします。

*その日のお話は、要約してポイントだけ書いています。

*緑の文章は、話を聞き、それに対しての個人的な感想やコメントです。


1)自分がどんな出産をしたいか考えよう(内海幸子助産師)

Q)誰のためのお産ですか?

Q) 自分はどういうお産がしたいですか?

Q)そのために自分は何をしますか?

命がけで生み出すのはママ。

最近では「出産が長時間に渡たり、自然に産むのが難しくなってきていて、促進剤や帝王切開などで病院で産ませてもらう」お産が増えています。お産は何が起こるかわかりませんが、「本来女性は自分の力で自然に産む力があります」。助産院では自分が目指すお産に近づけるように、最大限にママの力を引き出す体とメンタルのサポートをしています。

うん、うん、私も1人目は何もわからないまま、長引く陣痛の中、出産がどんどん受け身になり、意識がほぼない中、産ませてもらえないかな?と思いながら、どうにか産まれたけど、あまりの大変さで途中死ぬかもと初めて死の恐怖を感じた。こどもと自分がダメかも、と。夜中の授乳中は出産を思い出しては涙が出て、心身2年くらい弱り切っていた。出産6週間前まで普通に働き、こんなにもお産が大変だと思っていなかったし、どういうお産がしたいか?などあまり深く考えていなかった。こんなにも命がけだとは体験しないと知らなかった。そもそもあまり具体的にお産の話を周りから聞いた事がなかった。そして、こんなに命がけなら、もっともっとお産に向き合うべきだったと反省した。


2)安産へ向けての超ポイント

体は手をかけると応えてくれる!お産と山登りは似ている。

山登りもいきなり登ると体をこわす。でも少しずつ距離や負荷を増やし、「これなら登れるぞ!」と体を整えながら、やれるだけの事はやったと自信をつけて、あとは本番に臨めばよい。妊娠中、体調が悪い時期、安静にするべき時期もあるかもしれないけど、「まだ3ヶ月もある」などと少しでも多く、自分のために、赤ちゃんのために体を作る事が大時に。

①体を温める。冷やさない!

  • 温めておくと、お産が始まり、陣痛が順調に巡る。逆に冷えていると微弱陣痛になり、なかなかお産が進まない。特に汗をかく、夏冷え要注意。
  • 産後の出血が少なくなる。お尻は冷えやすく、特に女性のおしりには脂肪がつきやすく冷えがたまる。子宮は臓器で唯一伸縮性があるが、妊娠期に拳サイズの子宮が30センチを超えて、産後に後期陣痛と共に伸縮して元の大きさに戻ろうとする。
  • 母乳の分泌に影響する!母乳は血液なので温まっていると出やすく、血流も良く詰まりにくい。

②骨盤の歪みをなくす!

  • 妊娠するとお産に向けて骨盤が緩み、日々の日常の癖で歪みやすくなる。でも、なるべくニュートラルな状態にしておかないと、出産の時に赤ちゃんが回旋できず、難産に・・・
  • 日々から骨盤の歪みを改善するためにストレッチ&筋トレが必要!3歩進み2歩下がる。
  • 最低3セット*30秒しないと効果なし

③白砂糖は避けよう

  • 白砂糖は体を冷やし、血をサラサラにするため、出産後の出血量が多くなる危険性がある。
  • 乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど)も母乳が詰まりやすくなるからなるべく控えるように。
  • 日本人は和食中心が良い。ただ、食事制限はストレスにならないように、ほどほどに。

レッグウォーマーやスパッツなどを履き、助産院で買った糠袋を寝床に入れて、体を温めるのは気をつけた。そして骨盤調整は定期的に整体やケアを外からプロにしてもらうのと、最後の2ヶ月程度になってしまったけど、骨盤ストレッチを梅山さんにパーソナルで教えてもらい、寝る前に実践。私にとっては食事が難しかった。和食が良いのはわかるけど、毎日作るのは大変だし。今となってはご飯、味噌汁、そして買ってきても良いからおかずが一番楽だし一番美味しかったな。


3)心の状態が出産に及ぼす影響

陣痛は赤ちゃんの声?!
メンタルがお産に与える影響は大きい。分かりやすいのは「陣痛をどう受け止めるか」。陣痛=痛い、怖い、嫌!という人が多いのでは?でも、お産に必要があるからこの痛みがあるのでは?
内海助産師は陣痛=「赤ちゃんの声」と捉えている。陣痛中の声や様子でお産の進行がわかる。陣痛は赤ちゃんを狭いところを押し出し、回してくれる。そして、陣痛の間に緩むとモルヒネの何十倍もの幸せホルモン(オキシトシンとエンドルフィン)が出る。「気持ち良いお産だったー」という人は幸せホルモンが陣痛の間にバンバン出ている。

私自身も2人目までは陣痛=ありえない痛さと恐怖!と捉えていたけど、3人目の時に「陣痛が来るたびに赤ちゃんが通りやすくなり、出産を応援してくれてる!」と捉えたら、なんかエールのように感じ、痛いは痛いが(笑)、恐怖は和らぎ、痛さを受け止められるようになっていたから陣痛が進むのも早かった気がする。予定日を超えた頃には「陣痛よ、早く来てくれー」と祈っていたくらい。

妊婦は感覚が研ぎ澄まされる!
心のわだかまりも感じやすい。親になる前にわだかまり(インナーチャイルドなど)が気付いて!と声をあげ、自分自身が親になる間に向き合わされる。

私もなぜか普段よりも色々な迷いがなくなり、色々な問いに対して直感的に「知ってる!だってそうじゃん」と応えが宇宙から降ってくる?いや、宇宙と繋がっている感覚があった。何もなかった子宮の中で命を育むなんて、やっぱり妊婦は小宇宙だと思う。生きているだけで素晴らしい。存在自体が宇宙を育んでいる。妊婦よ、自分の存在の素晴らしさに気づいて!


4)お腹の中の赤ちゃんと繋がっていく大切さ

赤ちゃんはよーくお母さんを見ている。ママの一番の理解者。そして、陣痛のスイッチもママが整ったと思うと、赤ちゃんが押してくれる。仕事や育児で忙しい妊婦も、お産前は赤ちゃんに意識を向けてあげてほしい。お腹の中の赤ちゃんと繋がっていたママは、産まれた後も赤ちゃんが何で泣いているのかなどが分かる。

3人目は予定日を超えても陣痛が来なくて、助産院に検診に行くと「上の子で忙しいのでは?自分自身と赤ちゃんだけに意識を向けて!兄弟とパパは大丈夫だから」と言われて、そのままマタニティー泊をする事に。よもぎ蒸し、お灸、テルミーなどをしてもらい、「赤ちゃん、そろそろだよ。もうママはいつでもいーよ!」と声をかけながら階段を往復していると、その1時間後に陣痛スイッチが入り、どんどん陣痛が強まってお産に入った。頭では、早く産まれてほしいと思っていたけど、まだ心身整ってなかったんだね。赤ちゃんはベストタイミングで来るのだと思う。ちなみに2人目は無痛分娩予約していたのに、唯一それが叶わない祝日にやってきた。「怖いから無痛分娩にしたけど、本当は自然に産みたいんだよね」という私の想いに応えてくれた。


5)出産施設について

Q)お産の時に何を求めますか?

お産は「総合病院」「お産専門のクリニック」「助産院」「自宅出産」がある。
自分の心身の状況や価値観により、自分にあった場所を選ぶことが大事だし、どこであっても、自分らしいお産をすることはできるかもしれない。ただ、設備や人の状況の違いは知っておくと良い。例えば、総合病院はNICUがあるので、赤ちゃんに何かがあったらすぐに対応してもらえるけど、限られた助産師や先生はで複数人の妊婦を見ていることも多いので、お産中ずっと寄り添ってもらうのは難しい場合が多い。その点、助産院は医療設備はあまりないが、お産中もずっと寄り添ってくれる。

私は「総合病院」「お産専門のクリニック」「助産院」と3人とも違う施設で出産をしているので、身をもって違いを体験した。その人や時の状況などにより、どこが良いとはいえないし、どこもプラマイがある。でも、私にとって安心して、主体者として出産ができ、大事にされ・寄り添ってもらっていると感じられたのは助産院での出産だった。もちろん病院やその時の担当などにもよるだろうけど、やっぱり組織や制度の違いによる制約や違いもどうしてもあると思う。総合病院もお産専門のクリニックでも当日お産に立ち会い、赤ちゃんをうけとったのは初めましての人だった。あと、へその緒を自分で切り、胎盤をじっくり見て、触れて、感謝が言えたのも助産院のみだった。でも病院でも希望したら、叶えてくれていたかもしれない。お産の時に何を大事にしたいか?は周りに流されないで、妊婦の思いや考えを最優先にしてよいと私は思う。だって、命をかけるのは妊婦だし、誰も代わってくれないから。60代以上の女性と話してもお産の事を鮮明に覚えている。人生の中でも譲ってはいけない、一大イベントなのでは?!


6)助産院とはどういう所か

助産院では検診の時に1時間以上かけて、妊婦の体と心の診断をする。そして、体づくりを応援し、具体的に何をすると良いか教えてくれて、ファン助産院では体の専門家と提携している。地域に根付いていて、産後ケアやおっぱい相談なども受けている。

助産院では、お産中も助産師がずっとついてくれていたり、フリースタイルだったりというのは大きかったけど、何よりも検診が一番違った!2人目までの検診は長い間待ち時間でようやく検診。お腹の赤ちゃんを確認したら、「何かありますか?」と聞かれるだけ。忙しそうだし、何を質問してよいのか?ましてや、世間話をする雰囲気でもないし、毎回「特にないです」で終わっていた。でも、助産院では赤ちゃんだけでなく、ゆっくりと体を見てもらい、色々な話をした。脈を手でとってもらいながら「力強い脈ね!」「静脈瘤にテルミーかけてあげるね」「お尻少し冷えてるわよ」などと身体の事。そして、「流産する夢を見て・・・」となかなか言えなかったことがポロリと出たり、「3人目が今までで一番不安で怖いです・・・」と気づくと不安の声が漏れ、何度も励まされました。旦那もほぼ全部の検診に同行して、助産師達に2人の言い分を聞いてもらったりと旦那まで名前で呼ばれる仲になった。毎回泣いて、笑っての検診で、体は重くなっていくけど、心は少しずつ軽くなり、そして出産が徐々に楽しみになっていた。


7)骨盤を整えて、後安産を目指そう! By 梅山さん

妊娠をすると、お産へ向けて骨盤を緩ませるホルモンが分泌される。すると、骨盤が歪みやすくなり、腰痛や座骨神経、手足のむくみ、不眠などなどに繋がる。体は鍛えると応えてくれるので、頑張りましょう!

そう、毎回笑顔で「がんばりましょう!」と言われました。元々運動好きだったので(相当昔だけど)、普通のストレッチは一応知っていたけど、お産に向けてのマタニティーストレッチは、えっ、こんなポーズ?ここのばすの?とやった事ない動きが結構多かった!!ただでさえ、日に日に物忘れが進むので、ポーズのたびに携帯で写真を撮ってもらい、その写真を見ながら夜寝る前に頑張っていました。36週目くらいに始めたら、そのおかげで足の指や付け根がつるのが減ったという実感もあって、あーもっと早くからやっておけばよかった!と後悔して、妊婦さんにはオススメしています。産後もパーソナルでみてもらい、写真も撮り少しはやっているけど、育児の疲れが蓄積する中、なかなかできていない。とほほ。やったら絶対良くなるのはわかるのに!はい、がんばりたいです(小声)